SEOのシミュレーションは不可能?現実的な作成方法を紹介
「SEOの効果が、事前にシミュレーションできたらより明確な対策がとれる」と考えたことはありませんか。
SEOの結果には、さまざまな要因が影響するため、正確なシミュレーションは難しいのですが、効果を想定する算出方法はあります。
本記事では、「SEOシミュレーションが難しい要因」から「目的別でできるシミュレーション」、「SEOの効果を想定したい場合の4ステップの算出方法」と最後に「SEOで目標に近い効果を得るポイント」まで盛りだくさんに紹介します。
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目次
SEOの効果をシミュレーションするのが難しい3つの理由
冒頭でお伝えしたようにSEOの評価基準は、自分でコントロールできない不確定な要素が多いです。
まずは、正確なシミュレーションが難しい具体的な理由を見ていきましょう。
理由1 キーワードによって検索結果が大きく変動する
SEOシミュレーションが難しい1つ目の理由は、キーワードによって検索結果が大きく変わる場合があることです。
例えば、検索結果はユーザーが現在いる場所によっても変わります(=ベニスアップデート)。
「図書館」「市役所」など、ユーザーの位置情報によって検索結果が変わるキーワードであれば、流入数の予想とは外れるのです。
また、同じキーワードで検索しても、リスティング広告が表示されるときもあれば、強調スニペットが表示されるときもあります。
キーワードによる検索結果の違いはクリック率に大きく影響するため、この時点で正確な流入数は判断できないといえるでしょう。
理由2 アルゴリズムアップデートで順位が大きく変動する
アルゴリズムのアップデートがあることも、SEOのシミュレーションが難しい理由のひとつです。
アルゴリズムとは、検索エンジンが検索結果のランキング付けをするために用いる計算方法のことです。
Googleのアルゴリズムは不定期にアップデートされます。
今のアルゴリズムをもとにシミュレーションしたとしても、翌日には別の計算方法で順位を決めている可能性があるということです。
アルゴリズムはこまめに更新される上、具体的な内容についてはほとんど公表されません。
そのため、アルゴリズムを正確に予測することは難しく、また予想できたとしても毎日変わるものをシミュレートすることは困難なのです。
なお、過去の大きなアルゴリズムアップデートの内容を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
理由3 競合サイトとの相対評価で自社の順位が変動する
3つ目の理由は、競合他社によって自社コンテンツの順位が変動することです。
SEOは自社サイトだけを見た評価で順位が決まるのではなく、競合サイトと比べた結果(=相対評価)で決まるものです。
そのため、他社がどれだけSEOに力を入れたかによっても自社の順位が変動します。
例えば、まだ競合がコンテンツを制作していない穴場のテーマを見つけた場合を例としましょう。
自社だけが穴場のテーマでコンテンツを公開した段階では上位表示できたとしても、競合他社が同じテーマで参入した後に順位が下がる可能性があります。
このようなケースは珍しくないので、シミュレーションを作成する際は、競合他社の動きも念頭に置くことも必要です。
しかし、他者の状況を完璧に理解することは不可能であり、そういった点からもシミュレーションが難しいことがわかります。
このように正確なシミュレーションを作ることは不可能であり、おおよそこうなるだろうというレベルが限界なのです。
検索順位の下落について動画で解説しています!
目的別で行う2種類のシミュレーション方法
常に変動のあるSEOですが、SEO対策に向けた目的別のシミュレーションを考えることは可能です。
下表に、2種類のシミュレーションをまとめました。それぞれ、ひとつずつ解説します。
目的別のSEO対策シミュレーション | ||
目的 | 利用シーン | 作成時の傾向 |
【種類1】 費用対効果を把握するためのシミュレーション |
|
「こうなったらいいな」で作るため、数値を理想的に決めてしまう |
【種類2】 アクションを決めるためのシミュレーション |
|
「こうしなければ」で作るため、数値がやや保守的に決まる |
【種類1】 「費用対効果を把握するため」のシミュレーション
1つ目は、費用対効果を把握するためのシミュレーションです。
事業部の目標が定まっておらず、「こんな結果になったら良いな」という願望や外注先が「我々に頼んでいただいたら、これだけ伸ばせますよ」という観点で作成しやすいため、実態に即さない傾向があります。
SEOを実施するべきか判断するときや、外注先を選定するときに使われるケースが多く、アクションが度外視されているケースが散見されます。
注意点として、社内会議で高い数字が出てきたときは「ポジティブにデータを見すぎていないか」「実現の可能性はあるか」に注目しましょう。
【種類2】 「アクションを決めるため」のシミュレーション
2つ目は、事業部やチーム目標から逆算した数値のシミュレーションです。
「この時期までに○件のセッション数を獲得する」など具体的な目標が決まっているため、「○件のセッション数なら、このキーワードと記事数でいこう」などアクションにもとづいた正確なシミュレーションを出しやすくなります。
注意点として、目標が決まっているがゆえに厳しいシミュレーションにならないよう、フラットな考え方を意識しましょう。
シミュレーション作成は現実的に改善できる数値を設定することが大切です。
しかし、現実的な施策のイメージが湧いていない時ほど、「いけるんじゃないか」と現実離れしたシミュレーションを立ててしまう傾向にあります。
逆に施策のイメージが明確な時ほど「いやいや」とコンサバティブなシミュレーションになりがちです。
とはいえ、自分のことになると、客観的なシミュレーション作成は難しいため、気になることがありましたら、お気軽にナイルにご相談ください。
SEO効果を想定したい場合の4ステップの算出方法
SEOの効果をどうしてもシミュレーションしたいときは、下記のステップで進めましょう。
それでは、順番に紹介します。
ステップ1 キーワードの検索ボリュームから流入数を算出する
まずは、上位表示を狙いたいキーワードを定め、検索ボリュームから「流入数」を算出しましょう。
検索ボリュームを推測すれば、キーワードごとの流入数の見込みを仮で算出できます。
具体的な手順は、下記の3つの流れで進めます。
【流入数の見込みを算出する3つの流れ】
- キーワードを洗い出す(Googleキーワードプランナー・ラッコキーワードなど)
- 各キーワードの検索ボリュームを調べる
- 「順位ごとの平均クリック率×検索ボリューム」で流入数の見込みを出す
ウェブマーケティングのツールを提供しているドイツ企業のSISTRIX(シストリックス)社では、2020年7月に「モバイル検索のクリック率データ」を公開しています。
下図が、上位表示を達成したときのクリック率の割合です。
出典:Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid(SISTRIX)
例えば、あるキーワードの月の平均検索ボリュームが6,600回だった場合、1位を取ると「28.5%×6,600回=1,881回」の流入数が見込めることになります。
なお、キーワードごとに想定順位を出すのは時間がかかる上に、正確ではありません。
実際はすべて1〜3位を取った前提の平均クリック率を算出するなど、ある程度簡略化することをおすすめします。
ステップ2 月ごとの流入数を算出する
キーワードごとの流入数の見込みを算出したら、「月ごとの流入数」を出します。大まかな流れは下記の4つです。
【月ごとの流入数を算出する流れ】
- キーワードを優先度の高い順に並べる
- それぞれどの月に対策するか決める
- 月ごとに「見込み流入数」の合計を算出する
- 3の結果に「メディア全体の流入数」を加算する
まず、コンバージョン数が多そうなキーワードかどうかを基準に、優先度を決めましょう。
「検索ボリューム」をもとに設定するケースもありますが、流入数だけが増えてもコンバージョン数が増えるとは考えられないため、あまりおすすめできません。
また、月ごとに制作するキーワードの「見込み流入数」の合計には、「メディア全体の流入数」を加算しましょう。
このとき、3〜6ヵ月後に上位表示される前提で算出をします(SEOを始めて3ヵ月間は、初期の流入数と変動なしとみなす)。
例えば、4月に対策したキーワードの流入数は、6ヵ月後の10月に上乗せするイメージです。
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ステップ3 コンバージョン数を算出する
次は、流入数をもとにコンバージョン率から「コンバージョン数」を算出します。
現状の数値や、リスティング広告などのコンバージョン率を参考にしましょう。
以下に、計算方法の例を紹介します。
【コンバージョン数を算出する例】
- 流入数:5,000回
- コンバージョン率:1%
- コンバージョン数:5,000回×1%=50件
注意点は、リスティング広告のコンバージョン率をそのまま参考にしないことです。
リスティング広告は、「顕在層の検索するキーワード」を中心に配信することが多いため、コンバージョン率が高めに出やすい傾向があります。
一方でSEOは、すぐにコンバージョンを見込めない「潜在層の検索するキーワード」も狙うため、リスティング広告よりコンバージョン数が低いと考えられます。
ステップ4 ウェブで完結しない場合、コンバージョン後の動きも記載する
ウェブで完結しないビジネスの場合は、コンバージョン後の動きも記載しましょう。
例えば、BtoBの商材や保険・不動産などのケースです。ウェブで行なう施策は、マーケティングの一部に過ぎません。
下図は、ファネル(漏斗/じょうご:広く集客したユーザーが心理的な段階ごとに少数化する現象)といって、ユーザーが商品を知ったときから購入するまでのプロセスです。
出典:マーケティングファネルの活用例3選!分析して課題解決につなげよう(ナイルのSEO相談室)
このファネル構造によって考えたマーケティング施策全体から、数値を把握することが重要です。
見込まれる商談化数や成約数(売上)まで記載し、「ウェブ上の数値」と「売上の数値」をリンクさせましょう。
有効商談であるどうかや受注率などを合わせて考えることで、全体を通した費用対効果が見えてきます。
また、広告ではCPA(=顧客獲得単価)から費用対効果を算出しやすいですが、SEOでは同じような算出が難しいです。
ファネル全体を見ていないと、SEOの数値だけを指標にしてしまうリスクがあるため、施策をつなげて考えるようにしましょう。
ここまででご質問のある方は、以下のバナーよりお気軽にお問い合わせください。
SEOのシミュレーションを作成する際の2つの注意点
SEOのシミュレーションを作成する際は、注意すべき点もあります。
ひとつずつ、見ていきましょう。
注意点1 外的要因により数値が変動することを明記する
1つ目の注意点は、「外的要因により数値が変動する」ことを明記することです。
前述のとおり、検索結果の順位には下記のさまざまな外的要因が影響します。
【数値を変動させる外的要因の例】
- 検索結果のカスタマイズ
- アルゴリズムアップデート
- 競合他社の取り組み
自社でどれだけ施策を重ねても、アルゴリズムのアップデートによって順位が圏外になる可能性はあります。
あらかじめ外的要因が関わることを認識できていれば、シミュレーションの結果どおりに進まなかった場合でも冷静にその後の改善策を考えることができるでしょう。
シミュレーション結果の数値が不確定であることは、社内報告の際も忘れずに説明してください。
注意点2 想定外のキーワードで上位表示になる前提で流入数を算出する
想定外のキーワードで上位表示される前提で、流入数を算出することも重要です。
SEOでは、狙ったキーワードではなく想定外のキーワードで上位表示されることがあります。
例えば、「seo とは」で上位表示を狙った結果、「seo 仕組み」でも1ページ目に表示されるイメージです。
また、ツールで抽出した検索ボリュームがGoogle基準の場合、Yahoo!やBingなどの流入を加味すると、1.5〜2倍になるケースがあります。
検索ボリュームが多いキーワードの場合は「2〜3倍にした数値」で考えておくと、実際の獲得流入数に近い数値を算出することが可能です。
SEOで目標に近い効果を得る2つのポイント
SEOで目標に近い効果を得るためには、2つのポイントを押さえることが重要です。
それでは、順番に解説します。
ポイント1 自社サービスと関連が強いキーワードを選択する
1つ目のポイントは、自社サービスと関連の強いキーワードを選ぶことです。
検索ボリュームがいくら多くても、コンバージョンを見込めないキーワードでは成果が期待できません。
例えば、靴のECサイトのケースを例に考えてみましょう。
下図をご覧ください。
③の「赤いスニーカー 通販」は検索ボリュームは小さいですが、購入につながる可能性が高いため “確実に検索上位を狙うべきキーワード” です。
自社サービスと関連の強いキーワードを選ぶには、キーワードの洗い出しが必要です。
もし、無料ツールを使用してキーワード選定を進めたい場合は、下記の記事をご覧ください。
なお、「どのようなキーワードを選べば良いかわからない」という場合、カスタマージャーニーマップの活用がおすすめです。
カスタマージャーニーマップを作成すれば、 “ユーザーが認知から購買に至るまでの心理状況と行動” を可視化できるため新たなキーワードが見つかります。
カスタマージャーニーの詳細は、下記の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ポイント2 3年以上は継続的に取り組むことを前提にする
「3年以上は継続的にSEOに取り組む」前提でシミュレーションを出すことも、欠かせないポイントです。
SEOで成果を得るには、ある程度の時間を要します。
例えば、オウンドメディアの運営で考えるのは「投資期間」と「回収期間」の2つです。
開始から1~3年目(=投資期間)に月10本以上などまとまったコンテンツをリリースすることで、3年目以降(=回収期間)にコンバージョンを生むことが期待できます。
もちろん、ただコンテンツを増やせばいいというわけではなく、SEO対策の積み重ねは必要です。
第一歩としては、小規模でも良いのでSEOに取り組み、効果を見ながら施策を実施していくことをおすすめします。
SEOはシミュレーションより実践することが重要
SEOの効果は、Googleのアルゴリズムアップデートや社内で取り組むスピード感など、さまざまな要因によって結果が変わるため予測が難しいです。
ただ、どうしてもシミュレーションの提出を求められるときは、参考程度であることを説明した上で作成しましょう。
SEOで効果を得るには、会社から納得を得た上で実践を行い、とにかくPDCAを回していくことが重要です。
また、社内でよりスムーズに承認を得るには、SEOのポイントを把握しておく必要があります。
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